批評学園

日常・非日常を批評するブログ。

 死んだらどうなるのか。これは、人類最大のテーマの一つだが、答えは簡単。どうにもならない。端的に朽ち果てるだけ。逆に言えば、これほど確たることもないだろう。ひょっとしたら、「それは肉体の話、精神はどうなる?」などという質問をする人がいるかもしれないが、それについても、精神とは脳の機能であって、肉体の死と同時にそんなものは消え失せる…ということで一蹴できる。
 その辺が世間一般の常識ってやつだし、俺もそんな感じで考えている。だが、だからこそ、疑問が沸き上がる。そんな単純な問題が、なぜ未解決の問題のように人々を悩ませ、思想のテーマとなり、宗教の根本を成すものとなっているのか。
 そう、死んだらどうなるのかという問題について、俺達が考えるべきは、ベタにその問題自体を考えることではなく、なぜ、人はそういう疑問を抱え、そこにどういう答えを期待するのか…ということだ。世の中には、死んだらどうなるのかと問わずにはいられない人がいる。そして、死んだら無に帰するという回答では、怖ろしくて日々の生活を送ることすらできないというような人が確実にいるのだ。

 そして、その質問、「死んだらどうなるのか」に、最も人々が期待する形の答えを出してきたものが宗教だ。もちろん、死後に過酷なことが待っているという設定もあるが、そこには何らかの抜け道が用意されているわけだし、そもそも、死後にも世界は続くということ自体が、人々には嬉しいのではないか。俺だって、小さい頃は死が怖かったけど、それは地獄に落ちることが怖いわけじゃなくて、無になることが怖かったわけだ。地獄に落ちたって、生きてさえいれば良いことはありそうだからさ。ちょっと語義矛盾だけど…。
 では、宗教ではどういう答えを与えているのか。正統なる巨大宗教を見てみよう。
 まず、仏教。仏教では、死んだら地獄に落ちるとか、死んだらみんな仏様になるとか、俗説がまかり通ってるけど、それは全部インドから日本に伝来する過程、及び日本国内において、様々な土着信仰と習合しておかしくなったものだからね。本当の仏教では、人は永遠に輪廻転生を繰り返し、六道と呼ばれる世界で苦しみ続けると…。で、そこから抜け出す為に、悟りを啓くわけだね。悟る(解脱する)ことにより、輪廻の輪から抜け出し、宇宙と一体になることが理想状態だ。こういった世界観は、ヒンドゥー教も一緒だね。
 ちなみに、キリスト教では、死んだら一時的に保留状態みたいになっていて、最後の審判の時に神によって全員が復活させられる。そして、審判の結果、選ばれた人は神の国に行き、それ以外の人は、永遠の死を賜わる。キリスト教徒が火葬を嫌うのは、復活の時の為に肉体を残しておくことを考えているからだね。
 イスラム教では、神の判断により、死後、天国か地獄に行くことになる。天国は緑園とも呼ばれ、コーランには、どんな場所なのか詳しく書いてあるのが興味深い。蜜の川が流れ、幾ら飲んでも酔わない酒があり、何から何まで素晴らしい場所である上、たくさんの処女が色々なことをしてくれる(書いてあるんだから仕方ない)ってんだから、そんな世界を夢見てジハードに赴く兵士達の気持ちも察せられるというものだろう。

 こういった個人救済系の宗教では、死後の世界を描くのが当然であって、そこにある悲惨な状態を避ける為には信仰せよといった動機付けが行われる。そこに宗教自体の存在理由があるとも言えるわけだ。死んだら無になるというのが怖くて仕方ない人が、宗教を信仰することにより、死の恐怖から逃れることができるとしたら、これも責めるわけにはいかない気がする。
 パスカルは、「神がいるのといないのでは、神がいる方がメリットが大きいのだから、神がいる方に賭けるべきだ」という論理で信仰を勧めた。同様にして、死後の世界があると信じた方が、死の恐怖から逃れることができるとしたら、死後の世界がある方に賭けてみる方が得策だとも言えるだろう。しかし、それによって何かを失うのではないかと心配してしまうのは、俺だけではあるまい…。
コメント

生まれ変わりを説く宗教は意外と少ないんですね(ということは今ある生命は全て元・仏教徒orヒンドゥー教徒?)。
正直生きてるほうがつらいし汚いから、生まれ変わりたいとは全く思いませんが。
かと言って天国とか死後の世界に行きたいとも思いませんね…。
「無になる」と考えたほうが楽な気がします。
「死後の世界がある」と信じるのは本人だけでなく残された家族等のためでもあるかもしれませんね。
釈迦は結局解脱できたんでしたっけ?だとしたら「私は釈迦の生まれ変わりだ!」とか言ってる宗教家は偽物ですね。

まぁどんな宗教にしろ、信じてる本人が幸せで心の平穏を得られるならいいと思います(周りに迷惑かけない限り)。
私が宗教に入るとしたら現実逃避&「誰かに認められる、必要とされてる感」を得るためでしょうね…。
いや入りませんけど。
やっぱ宗教は難しいっす(*_*)
2008/07/13(日) 11:11:16 | URL | さおり #-[ 編集]
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